今日は、市場と競合の話について書きます。
結論から言うと、シリコンバレーにおいては、「競合他社が存在しない市場」という方が問題です。
競合が存在しないということは、その市場があまりに小さく、将来的にも市場が育つ可能性の見えないものか、もしくは創業者が競合の存在を単に認めたくないという場合が多いのです。
将来的な成長が期待される業界であれば、むしろ競合が存在していて当然であり、また競合他社の存在は、自社のみではなく、競合他社と共に競争しながら市場を育てていくことができるというプロフィットもあります。
また、ライバルの存在があってこそ、相手よりもさらに良いものを開発しようという原動力も働きます。
ということで、ソフトウェア/サービス系のスタートアップがシリコンバレーで資金調達をしようと考えた場合、競合については綿密に調査しておく必要があります。
さて、ここまで競合が大事であるという話をしておいて何なんですが、「最初から参入すべきではない環境」という例もあります。
それは、
- 既に上位1~3社くらいで勝者が決まりつつある業界
- 決定的な勝者はいないが、既にピークが過ぎつつあるように見える業界
- 参入が多すぎて、あまりにも混みあっている業界(感覚的には10社以上)
ただし、それらの環境に対して自社が、「技術面、もしくはマーケティング面から全くの新機軸を打ち出せる可能性がある」または、「ある理由により、他社が参入不可能な市場である」という場合を除きます。
自社がその例に該当しないような、「多少の差別化要因しか考えられない」または、「どう考えても他社と似たようなポジショニングになりそうだ」という場合は最初から参入を避けた方が無難です。
ちなみに1.を例に挙げるとすれば、コンシューマ型のVoIP(Skypeが天下統一中)や、同じくコンシューマ型SNS業界(日本でもアメリカでも既に確定に見える勝者がいますね)が思いつくでしょうし、他も挙げればいくつか出てくると思います。
2.について言えば僕の場合、マイケル・ロバートソン氏(Lindows、MP3.com、SIPphone、ajaxlaunch.comの創業者)が参入してくる所は既にピークであるか、ピークを過ぎつつあるというモノサシを持っています。
彼の特技は、「その時の旬である業界にキャッチーなフレーズでイエイと参入すること」なのですが、Lindows以降は常に参入タイミングを微妙に外してやってくるという、本気なのかネタなのか分からない面白さがあります。
とりあえず彼のことを「シリコンバレーのトゥナイト2」と呼ぶことにしよう。
次に、大手企業の参入についての話を。
大手の参入というのは、業種にもよりますが、特にソフトウェア系サービス業界においては、そんなに心配しなくても大丈夫だと思います。
例えば、GoogleやMicrosoftといえども、ひょっこり出てきたスタートアップに敵わないという事例がたくさんあります。
また、数年前と違って今のアメリカの大手企業達はその辺のことを十分に知っています。(日本の大手企業は今だに自分達で何でもやろうとしますが、この辺の日米企業の意識格差についてもいずれ書きたいと思います)
大手の参入時に、スタートアップがちゃんとマーケットシェアを持っている状態であれば、アメリカの大手の場合は、スタートアップに負ける可能性(わざわざイチから参入する)を選ぶよりも、シェアを持つスタートアップを買収してから入ってきますので、大手参入はむしろ喜ばしい出来事なのです。自分が当事者になれればだけどね。
また、一社大手が参入すると、それに触発されてその大手の競合達も参入しようとして一気にその市場が盛り上がることにもつながりますので、いかに大手を呼び込むかということも、本来はスタートアップ達が協力しあって検討すべき所なのかも知れません。
後半では、具体的に自社と競合について考えるべきことを書きたいと思います。
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