2008/03/27

サブプライム不況とスタートアップ (2)

先日、シャワーを浴びようと風呂場へ行ったら、湯船の脇にキノコが生えているのを発見。

元々、換気が悪そうだな~とは思ってたのですが、キノコってヒィぃ!

全然関係ない出だしでしたが、今日は前回の続きで、今のアメリカの不況とスタートアップ関連のことを少将じゃない少々。
(変換一発目が少将になるって・・・)


で、実際にどうなの?という部分おいては、少なくても僕の知る限り、「これまでのような勢いでVCがIT系スタートアップへ積極投資した時代はたぶん2007年の夏頃までで、今は昔。ああ兵どもの夢の跡」というのは前回ちょっと書いた通り。

しかしながら、お金を持っている所はどこかに投資しなければいけないわけで、そういう資金が最近はITを避けてクリーンテックや代替エネルギー分野、そしてライフサイエンスあたりに回っているわけです。
ちなみに、2001~2003年頃のITバブル崩壊後も今回と同じく、特にライフサイエンス分野に投資資金が大量に流れていたので、時代は繰り返すのだなぁという所であります。(データ失念したけど、どっかで見たというレベルの理解ですがね)

僕の知り合いの中でも、これまでずっとIT系しかやっていなかったのに、最近突如としてライフサイエンス系のスタートアップに乗り換えたような人もいますが、特定職種以外ならばこのように風の吹いている所にシュタッと舞い降りるような身の振り方もあるのかも知れません。(僕には無理ですが)

このように、スタートアップ全体的には一部を除き資金調達が非常に厳しい状況になっているものの、逆を言えば時代に関係なく、IT系スタートアップの中にはいいディールもあるだろうから、大手~中堅VCがそれらスタートアップに手を出さない今は、新しくて小さいスタートアップVCにとって青田刈りチャンスの時期でもあるだろうと思う。

ただ、現状のシリコンバレーがこのような空気であると肌で感じるものの、じゃあIT系はみんな悲惨な扱いなのか?というとそうでもありません。

僕の周りに関して言うと、一部の人気スタートアップにはすごい数のVCが寄ってきており、「断るのが大変だよアハハー」と、一瞬グーパンチ出してやろか、と思うようなことを言っていた某社CEOもいました。
その企業は、ソフトウェアではなくハードウェア系なのでちょっと違うかも知れませんが、売上げもまともな顧客もまだいないのに、よほど製品そのものが魅力的に見えるのか、毎日毎日VCが通ってきているようです。
しかしながら、その某社CEO曰く、「近々IPOもしくはM&Aを考えているので、今回のラウンドには投資銀行しか入れるつもりはないッ!!」ということでありました。

売上げもまともにない段階で、どうIPOを考えているのかは謎ですが、顧客がいなくともこのようにモテる所はモテるんですよ。これが世の常これが現実ッ!!という所ですな。

その他、ソフトウェア系では周りに惑わされず、早い段階からビジネスの方向を確実な法人顧客向け等に設定し、地味だけどキチンとしたビジネスを展開している所は固い。
今後、コンシューマ向けのサービス展開をしているスタートアップの多くは、「確実な売上げ」を目指してエンタープライズの方向に舵を切るか、もしくは例えばiPhone等の新しいデバイスの可能性に掛ける所が増えていくだろうと思う。

2001年頃の話に戻るけど、当時のシリコンバレーでコンシューマ系のソフトウェアビジネスというのは、すんごい不況に見舞われた時代ということもあって、ほぼ壊滅したような状態になっていた。
また、僕の前創業会社でも最初はコンシューマ向けにサービスを展開していた製品を、その後エンタープライズ向けに仕立て直して方向転換したことを覚えてる。

そして、そういう時代は2004年前半くらいまで続き、2004年後半から2005年に入るとWEBサービスを始めとしたコンシューマ系ビジネスがまた一斉に花開いた時代となり、去年くらいまでそんな時代が続いたものの今不況という所。

このように当時も今と同じく、多くのスタートアップ達は資金調達に苦労していたので、皆、確実なお金になる方向へモデルを転換して迷走していたような時代だった。

今回の場合だと、2005~2006年頃に資金調達を完了し、今だまともに成長していなくて、次の資金調達のアテのないコンシューマ向けサービスは、かなりの数が迷走中なのではないかと思われる。
「これからスタートしますぜ」という一発目の資金調達も大変だけど、「スタートして数年経つけどあまり成長してないので方向性変えます」という環境下で行う資金調達もまた結構大変。

やはり、常に人と違う方向を向いて、自分の時代を待っているような、バチコーイ体勢でいないとダメってことですな。
時代が動いた時に慌てて動くのではなく、時代が動くのをジッと待って、動いた時には既にそこのフィールドで数年の経験があるという状態が望ましいでしょう。

そうこう考えていると、現状、大まかに感じる所としてはまさに今は2001~2002年あたりの状況に似ているのでは?ということ。
慌ててビジネスの方向を変えるスタートアップが見える部分もそうだし、PC上のサービスはもうダメだ。これからは携帯の時代だ!と言われている所も同じ。ちなみに、中国市場だ!という部分もちょっと形は違えど同じ。

この時代はもう2~3年は続くのかも知れないので、その間に次の時代を見越して、自社のビジネスをどう仕込むかが大事でしょうな。

さて、そろそろキノコを栽培・・・いや、収穫してこようと思います。


2008/03/20

サブプライム不況とスタートアップ (1)

最近の大まかなスタートアップ事情については、日本でもそうかも知れませんが、シリコンバレーも相当参ってきているようで、僕の知り合いのスタートアップも最近2社ほどクローズし、VCについても1号ファンドが終わり、2号ファンド生成中でもなかなかお金が集まらなくなってきたという話も聞くようになりました。


このように昨今の経済事情は、サブプライムの勢いもあって実感としてあまり芳しくないと感じるものの、僕の場合は前回のスタートアップも結構ひどい時期(2002年頃)に資金調達活動をしていたので、実はこれが普通なのではないかと思う次第であります。

さて、僕の会社も引き続きシリーズAに向けて走り続けていますが、話が続いてデューデリまで行っている所もあるものの、基本的には以下のような理由で玉砕街道まっしぐら中!

  • まだ製品がない、顧客がいない (これが最も多い断り文句。ビジネスが見えていないと難しい。ウム)
  • 既にポートフォリオがいる (後半は同ジャンルの会社に複数投資しているVCは避けたものの、VCのポートフォリオに載ってなくてもステルスで同ジャンルに投資してる所もあった。騙されたー)
  • マーケットが見えない (混雑していると見ているか、専門分野ではないので全然見てないかのどちらか)
  • 調達金額が大きい (これは結構大事。後半は見直したものの、まだ言われたヒー。でも最小限で計算し直して違う案で再提出した所、話を続けられる所もあった)
  • 秘密 (僕と実際に会った人にだけ教えてあげるウフフ)

次に、現在進行中も含めて話が続いているVCが僕の会社の何を気に入っているかと言うと、

  • 将来のマーケットサイズの可能性 (大化けすると思っている)
  • 製品の目新しさ (他社との差別化部分を認識できるくらいマーケットを知っているVCのみ)
  • 投資戦略に内容が合致している (中にはシリーズAまでのブリッジのみを担う超アーリーステージ専門のVCもある)
  • 理由は分からないけど何か好き (直感を信じるタイプのキャピタリストも中にはいる)

と、こんな所であります。

これまで25社以上のキャピタリストと会って、その後のレスポンスが全くなかったのは3社のみで、ほとんどのVCはちゃんと返事を返してくれたり、アドバイスをくれたり、他社を紹介してくれたり、僕達が次のステップへ移行できることが条件で話を継続したいのでKeep in touchでお願い、という形で閉まるパターンが多かった。

ちなみにですが、レスが全くなかった3社のうち、2社は担当が日本人だった。(知らなかったけど意外といるいんですよ、日系VCではなく、現地VCで働く日本人)
で、こんなシリコンバレーみたいな外国で訪れたVCに同じ日本人がいたら、何かテンションも上がっちゃうじゃないですか。「おっ、同じ日本人同士だし日本語でOKだし、分かり合えるかも!これはいけるかも!互いに大変だよね!」だとかさ。

ところが、会って話をしてみると、一番元気がなくて反応が薄くて質問もなくて、その後連絡してもノーレスポンスだったのはニホンジンダケ!おーい大丈夫かー?生きてんのか?疲れてるの?

逆を言うと、その他は全員日本人以外のキャピタリストでしたが、上述したように全員レスポンスや次がある場合は宿題があったり、自社からの投資が難しい場合は他社の紹介等があったので、何だか日本人とローカル連中との元気差にガクゼンとしてしまい、とりあえずオフィスから彼らに元気玉を送っておいた。

今思えば、そんなモノより栄養ドリンクでも送っておいた方が良かったか?

まぁ、しかし現地でビジネスをやるなら、大きい所も小さい所も含めてちゃんとローカルのVCを血眼になって周った方がいいと思う。
現状の経済状況だけに、ビジネスが見えないと普通はあまりかまってもらえないけど、そこには知らないネットワークやらこれまで知らなかった知識が埋もれているから。

ちなみに僕の場合、現状の経済状況下で自社のビジネスモデルで現在のステータスだと、一番のSweet spotは、
  • 二桁ミリオンのファンドサイズ
  • 1社あたり$3ミリオン以下の投資戦略 ($1ミリオン以下、もしくは前後が多い)
  • 設立されてまた新しいVC (1~2号くらいを運用している所)
この辺だと結論した。

有名どころのVCは、いろいろとアドバイスはくれるし、ネットワークも紹介してくれるけど、何となく出来上がってしまっているためか、特に不況時にはこれまでのネットワーク上からハミ出ずに商売している感があるのに対し、新しいVCは担当者がCo-founderであったりするので、推進力に違いがあるというあたりが大きい。

続きはまた次回でーす。

2008/03/10

ロスのVCとシリコンバレーVCの違い

先週、しばらくロサンゼルスへ出張していました。

仕事の件もあったのですが、ついでに紹介されていたVCにも接見しようという試みであります。


普通の仕事面では、なかなか面白い具合に話が進み、チャレンジ精神をくすぐられる良い機会に恵まれて最高でーす。
しかも気温も毎日25-6℃くらいの晴天で南カリフォルニアってホント最高でーす。

資金調達面においては、シリコンバレーVCと見るポイントやコメントの内容そのものはあまり変わりませんでしたが、フレンドリーさが違いました。
ま、あくまで会った人々がそうであるだけであるかも知れませんが。

あ、ごめん、表題の割に違いは「フレンドリーさ」だけだった。(笑

いや、あと、「日本人なら中国での展開は考えてないの?」みたいなことも言われましたか。
いや、同じこと言われたのはロスのVCだけじゃなかったのですが、ワタクシ日本人ですがナゼに中国?と思って聞くと、やはり彼らも中国に拠点があり、中国マーケットで展開しているスタートアップには積極的なんだそう。
アジアはアジアとして結構大まかに括られているのか、そのように聞いてくる人もたまにいますということで。

そういや、話は変わるけど中国人の性質はむしろインド人に似てるんじゃないかと思う。いろいろな意味で。
少なくても僕の経験上、中国人とインド人は何か共通点があるような、何かが似てたと思う。いろいろな意味で。
しかし、これを本人に直接言うとなぜか互いに嫌がるという謎。(笑

しかし、彼らの「アグレッシブさ」は何だろう、、、どっか壊れてないと行けないんじゃないの?って所まで行っちゃってる人も中には見かける。

もうね、KYとかいう次元じゃない。空気読めないとかじゃなく、読む気すらないレベルが大佐級。きっと生まれながらにして少佐くらいの地位にいるんだと思う。(ちなみに僕は名の通り上級曹長クラスです・・・)

やっぱり、「アグレッシブさ」「しつこさ」「気合(気合ってw・・・と思うけどこれ結構大事)」そして、「ネットワーク」ですか、この辺が何かおかしなことになってるんだよなぁ。

とりあえず、少なくても最初の3つは少佐くらいになれるよう今後共精進したいと思います。