2008/05/28

諦めと発見の日々

スタートアップを日米通算で10年以上やっている身として思うことは、スタートアップの日々というのは、「諦めること」と「新たな発見」の繰り返しだという所。


「これをやろう!」と思って始めてみても、あらゆる事情で完成させる所まで辿りつくことができなかったり、リリースしても全く鳴かず飛ばずだったり、「今回はイケる!」と思っても途中でクビになったりと残念な結果に終わるプロジェクトも多い。

企業に勤めている身であれば、仮にそんなことがあっても「明日からどう生きるか?」という心配をあまりしなくて済むけど、自分でスタートアップをやっていると、こういう結果が「で、俺、明日からどう生きるのさ?」という場面にそのまま直結しちゃうこともあるわけであります。
(でもまぁ、「明日からどう生きる?」については、何年間もそれと格闘してきているためか、もう脳がマヒしちゃってて、なかなか危機感を持つまでには至らなくなっている自分がコワヒ)

今回の場合だと、ここ数ヶ月いろいろ頑張って資金調達しようとしてたけど、結局全滅という結果に終わり、去年から考えていたプロジェクトを止める決断をしました。

厳密に言うと、「出すよ」という所も実はあったものの、もろもろの事情により諦めることにしました。
しかしまぁ、プロジェクトをリリースできて、結果として鳴かず飛ばずということならばまだサッパリと諦めもつくものの、プロジェクトを完成させるまでの資金が続きそうにないから諦めるのってのは、どーなのさ?

・・・キィー!ムカつくぅ!自分にぃ!次を見てろろろッ!ってな具合ですな。

でも自分を責めないよ俺、俺で俺を恨まないよ。なぜなら俺はやればきっとできる子だからさ。大丈夫さ!俺!(もう言ってることが支離滅裂)

さて、上記の僕のようにスタートアップには、「残念だけど諦める」ということもよくある微笑ましい光景であります。

と、同時に次にやるべきことが目の前に転がりだすことも常でして、スタートアップって割とこれの繰り返しの毎日なのです。

僕の今回の場合もそれと同じで、次やるべきことが何となくまた目の前に転がってきており、いつものことながらピンチの後には必ずチャンスが訪れるという所を地で行ってるなぁと思う反面、チャンスの後のピンチも常にセットでついてくるのはナゼに?!と、この世のバリューセットについて、そこはかとなく諸行無常の理を感じる昨今であります。

まぁ、とにかく、今回の新たな発見は、前回プロジェクトの資産も一部流用できて、やってきたことが無駄にならないと思われるものなので、今後はとにかくこの道を「男塾、直進行軍!」のごとくひたすら突き進むことにしました。

諸行無常バリューセット一つ。。。あ、今後はピンチ抜きでお願いね。もう辛いのいらないから。

2008/05/02

久々です

ありゃ、気がつけば1ヶ月以上も書いていませんでした。

日本はGWですな。

アメリカの大型連休はなぜか冬場に集中しているためか、こういう季節に大型連休があるっていいかも知れないと思う今日この頃であります。


さて、これまでいろいろと僕の失敗談も書いてきましたが、今日はVC側の面白い失敗談も見てみましょうということで、先日会ったBessemer Venture Partnersのお話を。

普通のVCは、めったに自社の失敗をWEB上で晒すことなどしていないのですが、ここは普通とはちょっと違う。さすが老舗!余裕の情報公開といった所でしょうか。

このVCのPortfolioの中に、Anti-Portfolioというリンクがあるのですが、これはBessemerが過去に投資案件として扱ったものの、結局投資を見送り、結果そのスタートアップがその後大爆発しちゃったエヘ、という話の集大成であります。

で、その中で特に面白いのが、以下のあたり。

● Apple
IPO前に投資できたけど、価値が高すぎると判断したのですな。
その後のAppleの成長ぶりを見ると涙なくしては語れません。

● ebay
は?切手?コイン?マンガのオークション?そんなの誰もつかわねー!と思ってたら大バケしちゃった。
あれ?あれ?あれれれれー!時よ時代よもう一度ッ!

● FedEx
信じられないことに7回も投資話を断っちゃったよ!!
7回行く方も行く方だけど、7回断る方も断る方だなコレ。
「7度目の正直でまた来ました!Bizplan見てちょ!」「よく来たね、でも投資しませんから!」
いやぁ、ムゴイ。。。
しかし、僕もFedExから、「6回断られ続けても涼しい顔してまた行く」という教訓を学びました。
僕は今の所、同じ所に3回断られた経験があるのですが、3回くらいで諦めてたらダメっすな。

● Google
出たよ本命。
ただ、これはよく聞く話なのですが、Googleに投資しなかったVCというのは実際に結構あったみたい。
当時の検索市場というのは、20社以上がひしめきあっていて混雑市場と見られていたことと、時代が検索からポータル(昔、この言葉もよく聞いたな)という概念に変わっていたんですな。
ガレージがどうのこうのって所も脚色してそうだけど老舗ならではの感覚かも知れん。

いやー、このように余裕の情報公開だねと思うけど、実際にBessemerのPortfolioを見ると、やはり抜け目なく良い所にちゃんと投資できているのがさすが老舗。老舗。

大体、シリコンバレーのVCもピラミッド層になっていて、こういう信用ある老舗やセコイア等の投資効率の良いVCが頂点に立ち、その他はおこぼれを拾うような状態になっていますが、BessemerのAnti-Portfolioも見て分かる通り、おこぼれが炸裂することもまた世の常であり、そういう眼力やネットワークをいかに養うかという所もまたVCの醍醐味なんでしょうな。