2007/11/28

絶妙なタイミングでサービスイン(2)

最初の頃、無尽蔵に見えたストックもそろそろ底が尽きてきました・・・公開していくの早すぎた。

さて、今日も前回に引き続き、サービスローンチにおけるタイミングの話を書いていきます。

とはいえ、一つ注意しなければならないのは、いずれにせよ的確なタイミングを読んでサービスのローンチをコントロールするということは、かなり難しいということであります。



成功したサービスのほとんどが、「いや、まだ出陣の時ではない。待たれよ!」などとは考えておらず、急いで開発して急いでローンチした結果、気がつくと良いタイミングだったね、となっていることを忘れてはなりませぬ。

ゆえに、良い市場を事前に見極めるセンスというものが、特にシリコンバレーのテック系アントレプレナーには必須のセンスだと言えるでしょうし、優秀なアントレプレナーは、ここら辺の勝負勘が普通とはちょっと違う人が多いと思います。

今日は、「競合から頭一つ抜け出したサービスを勝者決定前にローンチするタイミング」という話について。

  • KANSSLT・・・いや、KST
これは、市場が盛り上がりそうだと感じた時に、素早くその市場における競合分析を行い、新機軸を持ってその市場の勝者が決定する前にギリギリ間に合わせるような形でサービスをローンチする技のことをいいます。

長いのでそれぞれの頭文字を取って、「KANSSLT」と名付けよう。あ、これでも長い・・・。「KST」にしよう。
ちなみに、この技を使うスタートアップというのは結構多く、前回に引き続き、Skypeを例として申し訳ないのですが、Skypeはまさにその典型であったし、P2P業界やSNS業界においてもそれらを見出すことができるし、ビデオ業界においてもそれにチャレンジしているスタートアップはいくつもありました。

業界にもよりますが、基本的にWEBサービスならば1年間くらいがベータ公開までの開発期間としてざっくり考えると、その業界が少し話題となってから、半年~1年ギリギリ未満くらいにサービスをローンチしてくる会社は大体KSTといえます。

「お、これからはビデオ業界が賑わいそうだ。じゃあ今開発しているサービスの方向性をビデオメインに変更しよう!」みたいな感じで途中で方向性の転換が図られるというのが大半だと思いますが、主要機能の変更だけでも結構な工数はかかりますし、テストを含めると、半年くらいの延長は目に見えてきます。

正直言うと、これまでその市場を育ててきた焼肉選手達にとっては、あまりにムカつく参入となるわけですが、鉄板の中の肉が美味しそうに見えれば見えるほど、このような「俺の肉を育ててくれてありがとう。いただきまぁ~す」的なプレーヤーが出てきやすいということは理解しておくべきだと思います。

もちろん、そのようなプレイヤーが出てくる市場というのは魅力的でありますので、自分がExitできるポジションをしっかりと固めておきつつ、市場応援団の一人としていかに立ち振る舞いができるか、ということが重要になってくるでしょう。
プレイヤーが多くなると、市場は盛り上がり、それ専用のカンファレンスやイベントが発生してきます。そういう場所でさらに市場をアピールできれば、もちろん全てではありませんが、Exitがより近い道として見えてくるわけです。

最後になりますが、市場後追い型であるKST型の中で、これまで一番の成功を収めた企業はSkypeになります。
KST型に重要な要素は、技術的新機軸とマーケット的新機軸です。前方にいる企業を熟知し、ファーストムーバがまだ手を打っていない所を目指してこの両方を包括したブレイクスルー・サービスをひっさげることができれば、前方集団を蹴散らしてトップに躍り出ることは可能です。

VoIPクライアント市場の場合、

1. 同時多発的にスタートアップが発生
2. KST/Skypeがブレークスルー
3. 第二市場創出型スタートアップの台頭

現在の所、このような変遷を辿っており、既に3.のフェーズに入ってきています。

次回は、3.の「第二市場を創出するスタートアップ達」に焦点を当ててみます。

もう寝る。

追記:
ごめん、ひょっとしてKSTカンパニーの中で一番の成功を収めたのは、SkypeではなくGoogleだった。
Googleが登場した時、既に検索市場は混みあっていたけど、本当のブレイクスルーを持っていたのはGoogleであった。
そう考えるとファーストムーバ型よりも、市場がある程度形成されている所にブレイクスルーを持って参入するKST型の方が、大成功率が高いのかも知れない・・・リスクが少ないとも言うかな。

特にファーストムーバ達が既にそのサービスにおいて、他に手を広げ始めてしまい、競争の軸としてそこを捨てているような所(Yahooで言えば、Yahooは途中から検索を競争の軸とは考えなくなっていた)が狙い目か。
いずれにせよ、時代は繰り返しつつ前に進む・・・。


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