2007/12/10

絶妙なタイミングでサービスイン(3)

さすが師走なだけあって、最近はちょっとジタバタしていました。

ドタバタ?・・・バタバタ?

とりあえず、前回の続きを書いていきたいと思います。




前回、言い訳がましくもGoogleのことを追記しましたが、いずれにせよ成功するリリースタイミングというものについては、必ずしもファーストムーバである必要はなく、市場の成立を見届けてから、その山に隠された別の頂上に新たな旗を立てていくという方法も、成功する条件として十分過ぎるものだと認識しました。

ただ、その山に隠された別の頂上を見極めるということは簡単なものではなく、いくら市場調査を行った所で回答は出てこないものだと感じます。それゆえ、別の頂上を探すという作業もまた別種のファーストムーバ的気質が必要なのだと考えさせられます。

さて、この別種のファーストムーバを目指して、一度市場での勝負が決まったように見える業界に対して、変化球を用いながらさらなる挑戦を挑む人々もシリコンバレーには数多く存在します。

  • 第二市場を創出するスタートアップ達
タイミングについて、いかなる時が適切なのかということはなかなか判断しづらいものがあります。
検索エンジンでいうと、Googleが立ち上がってきた当初は、Yahoo!が圧倒的に有利なポジションを取っており、この市場でYahoo!を逆転する者が出てくるとは誰もが想像していなかったでしょう。

僕の場合、90年代後半に複数の検索エンジンを同時検索できるツールを作成していたことがありますが、当時はそういうツールが必要であったほど、検索結果が各エンジンによってバラバラであったことを思えば、検索結果のほぼ全てをカバーすることに成功したGoogleが天下を取ったということは、当然といえば当然の結末だったのかも知れません。

さて、Googleの場合はどちらかというと、検索エンジン業界に対して、技術的新機軸を持ち込み、真っ向勝負を挑んで成功した企業ですが、第二市場を創出するスタートアップ達のほとんどは、どちらかというと真っ向勝負型ではなく、変化球で攻めてくるパターンが多いと感じられます。

例えばVoIPサービス業界を例にして言うと、既にSkypeという王道を進んだ覇者が存在しており、他社は同じような道を多少の技術的新機軸を持って挑もうとしても、もうワンサイクルくらい間が空かないとなかなか難しいものがあるのではと考えられます。

昔の検索エンジンに問題があったことは、実際に前述のソリューションを手がけていたため僕でも理解できますが、VoIPクライアントに関しては、今の所はあまり問題はないように思えるためです。(VoIPクライアントに必要なことは、NATを越えてちゃんと相手につながって、遅延を感じることなく普通に会話ができればよいだけです)

そのため、他社はVoIP業界という大きなカテゴリーの中で、変化球を用いて自社のポジションを確立していかなければならないわけです。

代表例としては、

Jajah:互いの電話回線を相互接続するサービスを展開
Jaxtr:こちらもウィジット経由で互いの電話回線を相互接続するサービスを展開
AGE phone:各種キャリア、端末に対応したSIPソフトフォン
Jangl:メールアドレスのみで相手と通話が可能なVoIPサービス
ConnectMeAnywhere:一般回線番号をもらい、相手にその番号経由で電話ができる
flashphone:WEBベースで世界各国へ電話をかけられるサービス(WEB版サービスは昔からあったのですが、Flashというのが新しい所)

この他にも調べると、ボイスメールにフォーカスしている企業等、もっと出てきますが、いずれにせよSkypeと比べると各サービス共にVoIP業界という大枠の中で、さらなる新市場の確立を目指し、それぞれの色を出していることが分かると思います。

また、このような動きはもちろんVoIP業界のみならず、例えばSNS業界や写真・ビデオ共有業界、音楽業界、さらにはオフィスアプリ業界や、検索業界に至るまで、たくさんの業界で今なお普遍的に存在しますので、もしもあなたがどこかの業界に通じているのであれば、ピックアップして各社の狙っているポジションを確認してみることも楽しい作業かも知れません。

ちなみに第二市場の創出を目指した企業の中で、今の所、最も成功しているように思われるのは、FacebookやLinked Inあたりではないでしょうか。

当時、ほぼ決まりかけていた業界の中で、学生専用、社会人専用という変化球を用いてサービスを開始した彼らも、当時の覇者であったMyspaceと既に互角か、もしくは抜きん出るくらいにまで成長しました。

そう考えると、いずれにせよ目の付け所が大事なのだな、ということが目に染みるわけであります。

あ・・・、目に染みたら痛いんですけど。

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