2008/10/09

バブル崩壊とスタートアップ

ここに来て、さすがに今回のものは前回のITバブル崩壊どころではない空気が漂って参りました。

今日久しぶりに会った某VCの友人キャピタリストは、まさしく今、二号ファンドを生成中みたいなのですが、「全然お金が集まらない」とボヤいていたと同時に、「先週、某スタートアップに$800Kの投資を行ったんだけど、22%のシェアを取れたんだよ」と自慢げ。

現場では、さっそく昨今の経済事情が反映されてるみたいです。


上の例はスタートアップ側には不利なディールでしょうが、投資する側において、やはり今は仕込み時期であることは間違いありませぬ。(ファンド生成できたVC限定ですが)
まぁ、でも資金が回るスタートアップはまだマシで、今は創業そのものが厳しい時代だと感じます。

日本の場合は確か、92~93年頃にバブルが崩壊し、97年に山一や拓銀の倒産があったので、僕のような普通な人が不況絶好調を感じるまでのタイムラグは約5年。(俺、ニブすぎ?)
アメリカの場合は日本の例があるため、もう少しマシな手当てをすると考えてみても、来年になるともっと不況感を感じるようになってくるでしょう。

あと、実は住宅ローン(サブプライム)もさることながら、カードローンを証券化したものも緊急手当てしないと結構ヤバいという話もあり、カード天国アメリカの場合、こっちがコケると今よりも大変なことになるんじゃ・・・ということで、まだちょっと将来が見えない状況が続きそうであります。

まぁ、そう考えるとアメリカの今は、まだ本格的な冬時代を告げる序曲が鳴り始めたという時期でしょうか。
個人的には、金融業界のために$700ビリオンものお金を使うのではなく、モノが売れるような方向で、実経済を活性化させる企業等に資金が回る仕組みで注入した方がよほどマシなんじゃないかと思いますが。
というか、困ったら税金投入して助けるって。。。そんな業界は野放しにしとかないで、半官半民とかにしとかないとダメなんじゃないの?

問題はスタートアップ。

少し前述したように、今は創業そのものが厳しい状況であります。

恐らく今後、あちこちでレイオフが始まり、買い手のない人々はこの地から去り始め、101からまた車が消えて、オフィスの空室も目立ち始めることになるはず。
そうなってくると、いい人やオフィスが割りと好条件で手に入るようになるだろうし、まさに買い手パラダイスという感じに推移していくでしょう。
そういう意味では、「スタートできた会社限定」で、業種によっては高い成長を得る機会になるはず。

ただし、Exitに関して言うと、ちょっと前までシリコンバレーのスタートアップで働く人々は、「Exitした時が本当の給料日(日々の収益よりも、最終的にどうExitするかが問われていた)」と言われてたけど、今回のドボンで本当の給料日がいささか遠くなるはずなので、今後は多くが「確実な収益」になる道を模索し、次の窓が開くまで頑張ってサバイブすることになるでしょう。

ここにも書いたけど、IT系業種の場合、今回のキーワードも、ITバブル崩壊後と同じく、「企業用途」と「携帯電話関連」あたりかな。

もちろんIT系のみではなく、今後はむしろクリーンテックやクリーンエネルギー関係の伸びが目立っていくはずで、実際に僕の知り合いのセミコン系エンジニアは、今、クリーンエネルギー関係の会社を興そうと頑張っていて、この時期にも関わらず結構な資金を集めているそうであります。

いずれにせよ、スタートアップ側にとっても、今、3~4年先を見越して自分のポジションを考え、他人が始められないこの時期に何かを始めることができれば、数年先には頭5つくらいリードできる絶好の機会になるはずなんですがね。

僕の住むソフトウェア系で、前回と今回のバブル崩壊で変わったと思う点は、業種によるものの、オフショアリングに関する経験と知識、技術が現地とオフショアリング先双方に広がっている所であり、コストの高い現地人エンジニアを最小限にしたまま、スピードをさほど落とさずに開発を進められる点。
まぁ、互いに慣れてきたという感じなんでしょうかね。

この海外の開発拠点は、自社で立ち上げようと、他社のリソースを使おうと、最初の立ち上げが大変なものの、軌道に乗ってくればコストの恩恵を大いに受けられるし、時々出張とできて楽しい。(そういう意味では自分が出張したい国に作るという手もアリだな・・・いや、でもトルコはないってw)
ちなみに今はもうインドと中国だけがオフショアリング先じゃないす。

あと、Coderも使える人は使えるという感じになってきているので、いよいよシリコンバレーは本社機能のみ有する形になっていく未来がこの先にあるんじゃないかと思う。

ついでにその先は、ネットの中に本社機能があるという感じになるはず。

そうなれば、プロジェクトベースの小さな集合体が無数に出現するような、面白い世界の扉がやっと開くのだろうと思う。

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