2008/02/15

競争の時代

ここ最近、シリコンバレーのVCと話を重ねていて感じることは、

  • シリコンバレー以外の世界に注目しているキャピタリストが多い

ということ。

「そのプランは、どこどこの国のナニナニという会社もやっている。自分はどこどこの国のサービスが面白いと思う。」という会話もローカルのVCとの話の中ではごく普通な状態でして、なるほど彼らもシリコンバレーやアメリカだけを特別視して追っているわけじゃないのね・・・と思う次第です。(特に今、シリコンバレースタートアップのExit景気も厳しい状況だしね・・・)

じゃあ、どこを見ているのか?については、予想通りかも知れませんが、キャピタリストの多くが中国の方向を向いていて、日本の話題が出ることはほとんどナッシング。

たまに、ジャンルによっては日本のスタートアップのサービスも話題に出ますが(「顔ちぇき」と「ニコニコ動画」は前に話題に出たことがある)、ソフトウェアサービスのジャンルでも携帯のジャンルでもやっぱり中国が一番気になる様子であります。

実際にローカルVCのポートフォリオを見ていると、中国系のスタートアップも最近はよく見ることができるので、既にシリコンバレーのスタートアップと中国を始めとする海外のスタートアップとの間では、資金調達面においてもう競争局面に入っているんじゃないかと思う。
(同じことをやるなら、実際、中国の方が資金調達しやすいかも知れないよ。)

スタートアップの方に目を向けてみると、これまた中国に制作拠点を移転している所も多く見かけます。
僕の前回のスタートアップも以前は中国に開発拠点を置いていたことがあったり、また現在も中国のアウトソージング会社と一緒に仕事をしてたりするので、個人的にも実に身近な国、それが中国という具合。

その他、僕の会社の開発作業の場合、中国のアウトソージング会社以外にも、直接メキシコ人やロシア人とCoderサイトを通じて一緒に開発作業もしているため、もはや生産地がどこだかよく分からない状態であります。(加工食品みたいなものだからパッケージに原産地表示しなくていいんだよね?w)

とにかく、「その分野に精通した人と、ネットを通じて一緒に仕事をする」という状態が、ここ最近普通になってきているわけです。

さらに、出来上がった製品もアメリカのみならず、幅広く世の中の人々に使ってもらうわけだから、「本社のみがシリコンバレーにある。」という状態になるでしょう。

これからは、

資金も、サービスも、働く人も、流れる情報も、仕事のやり方も、国を飛び越えてより良いモノのみを求めて流れていく。

普通にそんな時代になっていくだろうと思う。

これは、スタートアップやそこで働く人がどこの国に存在しようが、「仕事を作る、仕事に就く、資金調達する、製品を売る」という面において、まとめて世界的な競争をしなければならない時代へと本格的に突入しつつあるという意味もあるだろうし、実際にソフトウェアサービスにおいても、先ほどの「キャピタリストが中国を見ている」という話じゃないけど、既に多くの国がシリコンバレーのスタートアップをキャッチアップしつつあり、さらにシリコンバレーの資金を獲得しているという流れがあるわけです。

これまでは、

1. シリコンバレーのスタートアップが面白いサービスを開始
2. シリコンバレーVCがそこへ集中投資
3. そのサービスがローカルで話題を呼び、
4. 海外のアンテナ感度の高い人々に飛び火していくと、
5. 海外でもパクリサービスがたくさん出てくる
6. シリコンバレースタートアップと海外スタートアップによる顧客争奪戦

というような流れがあり、つまり「世界的な競争」と言えば、主に製品やサービスの顧客争奪戦でのみ使われていたんだけど、最近は、
  • 働き手を獲得する
  • 資金調達をする
  • 就職する
と、これらについても世界的に競争していかにゃならん状況に近づいてきている。

「働き手を獲得する」については、まだ海外の人材について獲得しづらいという実感はあまりないものの、oDeskなんかを見ていると、レイティングの高い人はなかなか余っていなかったりするので、ここも「競争過多時代」と認識できるようになるのは時間の問題だろうと思う。

競争は全ての面においてローカルに限らず世界的に。発想もチームも「当然」全世界を捉えて考えていくという時代へ。
こりゃ、うかうかしてられませんな。

これまでも、シリコンバレーや日本のソフトウェア系のスタートアップ達は、「国にこだわらず、なるべくいい人とチームを作り、自社製品を世界中に売りたい・使われる世の中にしたい」という願望はあったはずだけど、やっと環境がそろそろ追いついてきましたよ・・・と思ってたら、あっという間に飛び越えて次へ行ってしまいましたよという感じ。

何かあれだね、ZoomInfoとかLinkedInとか、oDeskあたりを混ぜ合わせて120発くらいパンチすると、そういう時代にマッチしたサービスを提供できそうな気がしますな。

あとは時差の解決だな・・・うん。でもそればかりは無理だからもう寝る。

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