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2008/07/07

日本へ行ってました

ここしばらくの間、久々に日本へ行ってました。(といっても、北海道と京都)

いやー、「暑い」と「北海道はサミット・ポリスだらけ」でなかなか良かったです。(何が?)


北海道ではジンギスカンや寿司を食べまくり、京都ではなぜか中華を食べまくり、そして何かに取り付かれたように毎日スーパー銭湯行ってました。ジンギスカン食べてスーパー銭湯。寿司食べて銭湯スーパー。いやぁ極楽極楽。

そして日本はやはり食べ物が最高!
何かコーラとかもきっと味が違うはず!(この思い込みで全てが美味く感じたのだと思う)

でも何でか知らないけど、毎回日本へ行くと鼻毛の成長率が著しい。何をそこまで飛び出て主張したいのか、とにかくみんな一斉に出てきてしまうのはナゼ?

さておき、一つ日本の状況も変わったなという所では、今回日本でM&Aコーディネーターの仕事をしている友人と会ったのですが、彼曰く、「日本のM&A市場がここ数年でかなり活発になってきている」という部分。
また、某大手SIerで偉い人をしている知人も、去年からとにかく会社を買えという流れになってきていると言ってました。
(誰ぞ、日本のM&A市場が活発化しているというデータがあれば教えて下さい)

で、現在の日本のM&A市場状況を集約すると以下のような感じらしい。

● テック系スタートアップの買収がメインではなく、ほとんどは大手企業同士か、何十年も事業を継続しているような中小企業で、後継者がいないからもう売るーみたいな理由の買収がメイン

● ソフトウェア会社買収の場合は、技術云々ではなく、開発人員を増やすための買収がメイン(特にSIerは人集めに苦労しているらしく、集まらないなら買ってこいー!みたいな感じらしい)

● 買収時のバリュエーションに関しては、売りたいか買いたいかによるものの、大体利益の2~3倍くらいが目安だとか(何この投売り超特価。。。税引き前か税引き後か聞くの忘れたけど、とにかく売上げベースじゃないみたい。)

ただし、スタートアップの資金調達に関しては、これまで通り非常に厳しい状況であること。
特に今はVCが全くと言っていい程お金を出さない。

この辺ですかね。

アメリカに関しては、僕自身も過去のエントリーで自らの体験を紹介しているように、資金調達は引き続き極めて難しい。
また、それに追い討ちをかけるようにM&A市場も下がっているらしい。ヒィエ。
参考1, 参考2

いやはや、、、

人生三度目の氷河期キタYOーーーーーーN!!!
(一回目:就職氷河期、二回目:ITバブル崩壊、三回目:ナウ)

という所でしょうか。

とにかく、これまで低成長を続けてきた日本のM&A市場の突然の上昇については、Exit戦略としてIPO市場が腐っているという点と、「買収されることは負けではない」という企業経営者の考え方の変化、そして日本の大手企業が「自社だけで全て賄わず、他社を買収してでも成長する」という手法を試しつつあるという変化があるのかも知れません。(まだまだバリュエーションがアレですが)
いつの日か、シリコンバレースタートアップのexit対象として、多くの日本企業の名が見られる日が来ることを願っています。


ところで、今回は帰り道に成田空港へ直接行かず、Nikon D60レンズキットをゲットすべく瞬間的に秋葉原へ寄り道。

あるかな、あるかな、、、5万円台であるかな・・・と探すことしばし・・・で、発見!!ヤホー

↓D60で斜めから見たD60を撮ろうと試みたけど無理なのでiPhoneで撮りました画像。



ワタクシは一眼レフ初心者なので、この入門機をベースに今後いろいろと勉学に励むことにしました。

とりあえず慣れてきたら200mm望遠VRレンズ買って、鼻毛伸び率の記録でもしていきたいと思います。

2007/11/15

企業買収のコスト

僕がBloggerでブログを書くようになったのは最近ですが、昔はMovable typeも使っていたことがあります。
しかし、新しいブログというのは新しい機能もあり、やっぱり楽しいせいか、仕事が忙しくても日々更新しようとする力が働く不思議よ。。。

引き続き、昨日のカンファレンスに関わる内容で、今日は買収時にかかるコスト面のことを書いていきたいと思います。


  • VCのコスト
シリーズAが終わっているようなスタートアップの場合、その契約書の中に1xや3x等の保証契約内容事項が記載されています。
これは何かと言うと、買収ディールがクローズした際に、投資額に対してまずは1xなり3xなりをVCに戻します、という合意内容のことです。
例えば、シリーズAで2ミリオンドルの投資があった場合は、1xの場合はそのまま2ミリオンドルを戻し、3xの場合は6ミリオンドルを先に戻す、ということになります。
(1ミリオンドル = 100万ドルです。円だと110円で1億1千万円ナリ)

さらにそれとは別に、彼らの保有するシェアの取り分もあり、そう考えるとVCに対するコストというのはやはり高めという認識を持っておいた方がいいでしょう。エクスペンスィィブー!!

ちなみに昨日の話題でも出ていたのですが、現在、1x以上を取るシリコンバレーのVCというのはもういないようです。
さすがに3xというのはエゲツないだろ、ということでバブル期以降は1xがスタンダードになっているとのこと。また、僕の会社もシリーズAに向け、いくつかの現地VCと話を進めていますが、1x以上を提示するVCはこれまでの所、存在していません。
昔は3xが割と普通だったので、以前と比べると、ここはやさしくなった部分なのかも知れません。

  • バンカーのコスト
会社を売りに行く場合は、ディールの大きさによるものの、インベストメントバンク(投資銀行)経由が多いようでした。
インベストメントバンクと聞くと、何となく100ミリオンドルを越えるような大きいディールしか手がけないのではないかというイメージがあったけど、こちらのバンカー達は大手でも50ミリオンドル前後くらいのディールから手がけるようであります。

ちなみにそれ以下の小さいディールを取り扱うのは、どちらかと言うと彼らではなく、専門エージェントの範疇になるようです。特にシリコンバレー界隈では、20~30ミリオンドルくらいのスタートアップ企業のディールも多いわけですが、これら小規模ディールに関しては、それ専門に扱うエージェント経由で買収交渉を行うことが多いとのこと。

バンカーに対するコストですが、基本的には買収額に関わらずミニマムチャージが2~3ミリオンドルで、買収成立時には全体の買収額に対して1%くらいの成功報酬チャージがあるようです。
100ミリオンドルで買収が成功したとすれば、まず2~3ミリオンドルを支払い、さらに合計額の1%にあたる1ミリオンドルを成功報酬として支払う、という流れになります。

ただ、インベストメントバンクに関しては、何をやっているのかよく分からない、外から見えにくい、何も生み出していないのに多額の中間マージンを抜きやがって!という理由から、正直嫌っている人もいるようです。
買収側も、インベストメントバンクが入ると価格の吊り上げ競争が起こってしまうので、あまりいい顔はしないらしく、彼らが存在することにHesitateする買収企業もあるようです。

これらネガティブなイメージを持つインベストメントバンク達ですが、バンカー自ら語っていた彼らの存在理由としては、

1. 戦略的に可能性のある企業の多くと話をするので、普通に交渉を行うよりも高値でまとまる
2. 既に経験を積んだ人間がやることでスムーズな交渉が可能となる
3. 経験を積んだ弁護士がいるので、その後の問題が起こりにくい

というようなことを言っていました。
買収ディールをクローズする際には、タフなネゴシエーションや煩雑なペーパーワーク、複雑な法律関係も関わるため、特にスタートアップ企業が会社を売る場合はインベストメントバンクを積極活用した方がいいよ!きっといいよ!というアピール付でしたが、専門人員のいないスタートアップ企業の場合は確かに一理ある話だと思います。

ちなみに、買収ディールについては基本的に社内で5~6人+弁護士でチームを組んで作業にあたるようで、ディールクローズまでの平均的な期間としては2ヶ月~半年くらいという話でした。

  • 弁護士のコスト
買収ディールをクローズさせるためには、必ず弁護士が必要になります。
もちろん先方にも弁護士がいるでしょうが、発生する契約関係を全て緻密にスクリーニングし、不利となる箇所は指摘してネゴしなければなりません。

これら弁護士にかかる費用というのもバカにならないのですが、ディールによって費用がかなり変動するため、コレといった数字は出てきませんでしたが、実際に弁護士に聞いた所によると、小さくてスムーズなディールで10~20万ドル前後、大きくて煩雑なディールの場合は、1ミリオンドルを越えてしまうこともあるようです。

バブル時は、それに追加して普通に2~3%のストックオプションも要求してたので、そういう時代に比べると今はまだマシかも知れません。

  • Escrow
普通、買収ディールを行う際には、契約内容に約10%で1年間期限付のEscrowを含んだ内容が提示されます。(%は企業によって変動あると思われます)
これは、買収金額の10%を買収側が1年間プールしておきますよ、何かあった場合はここから引きますよ、という内容で、何もなければ1年後に返還されるものですが、アメリカでお金持ちの大企業がスタートアップ企業を買収すると、すぐにパテント侵害訴訟であるとか、その他権利関係の訴訟が起こされるため、全然戻ってこなかった・・・(涙)という話も実際に聞くことがあります。

ちなみに、GoogleがYouTubeを買収した際は、明らかに著作権侵害訴訟が将来起こるであろうことが予想されていたため、かなりの額をEscrowされていたようです。

  • 引越しのコスト
意外な盲点かも知れませんが、社員が買収企業の本社へ勤務することが条件とされる場合もあります。
この場合、お互いが近ければしばらくの間はゴマカシつつ、オフィスの契約期間終了まで持っていくという戦法も使えるのかも知れませんが、州をまたぐような移動が必要な場合は、それまで利用していたオフィスへ契約期間の残り分を一括で支払う義務が生じる場合もあります。

仮にオフィスの賃貸料が月1万ドルであり、残りの契約期間が10ヶ月あれば、それだけで10万ドルを無意味に支出することとなります。

  • トータルのコスト
こう考えると、Acquisitionされたからといって、トータルで創業者や社員にどれくらいの分け前を与えられるかという部分が少々不明瞭となります。

仮に、1xで3ミリオンドル、シェア30%でシリーズA終了後、バンカーを入れて少々複雑なディールを50ミリオンドルでクローズした場合を仮定すると、

1. VCの1x分コスト = 3ミリオンドル
2. バンカーのミニマムコスト = 3ミリオンドル
3. Escrow = 5ミリオンドル
4. Lawyerコスト = 1ミリオンドル

その他、引越し等細々としたコストもあるでしょうが、とりあえず上記合計、12ミリオンドルがいきなり消え、残り38ミリオンドルからスタートです、ということになります。全体の24%がコストとしてここでサヨナラ。

そして次に、以下のように割り振りがされます。

1. VCやその他優先株取り分 (30%) = 11.4ミリオンドル
2. バンカーの成功報酬 (1%) = 0.38ミリオンドル
3. 創業者株, ストックオプション等の取り分 = 26.22ミリオンドル

3.のところで、やっと創業者や社員が分け前を頂戴できるいうことになるわけです。
ですので、仮に自分が2%の株を持っているからといって、「50ミリオンドルで会社が売れた!俺の取り分1ミリオンドルだ!」ということにはならない、ということを予め理解しておいた方が良いということになります。

また、こう考えると、既にシリーズAを完了させたスタートアップ企業が、仮に10ミリオンドルくらいのディールをクローズさせた所で、何か誰も儲かってなさそう・・・という感触も何となく分かると思います。
シリーズCくらいまで行ってしまうと、仮に50ミリオンくらいのディールをクローズさせた所で似たような感じかも知れません。

最後に、買収時のオプションとして現金買収の場合と株式交換の場合があります。この辺も結構面白いところなのですが、またいつか書きます。

もう寝る。

2007/11/14

Being bought is better than being sold!

今日の夜は表題のようなカンファレンスに出席していました。

「売るよりも買われる方がいい」という内容です。
一瞬、「何を?」と思われる方もいるかも知れませんが、会社の話であります。


今日のカンファレンスは実績のある弁護士やバンカー、そして過去に自身の興したスタートアップを何回かAcquisitionさせることに成功したアントレプレナーが、現在のシリコンバレースタートアップ企業のAcquisition戦略についての状況を、実例を交えながら説明していたので、かなり面白いものがありました。

現在のシリコンバレーにおけるスタートアップ企業は、「会社を買われる」というExit戦略を取っている所が一番多く、また実際に僕の会社もIPOまで行くための戦略より、Acquisitionされるための戦略に重きを置いています。

  • どういう会社が買われやすいか?
買収と一口に言っても様々な理由がありますが、特に多いのは、「単純に特定のハードやサービスをEnrichするもの」ということでした。

買収側の製品をさらに売るためのエサという位置づけのため、現在の製品やサービスに対するユーザー数が多い、少ないということはあまり関係がなく、いかに大手企業の今持っている製品やサービスと関連づけられるか、という部分が勝負所となります。また、それらの多くは、大手が買収後は主力製品に同梱されて一気にバラまかれる、または主力サービスの重要な一部機能を担う役割になることが多いようです。

例えば、GoogleのKeyhole買収は、「新しい市場を開拓するための買収」として位置づけられるものであると思いますが、AmazonのBrilliance Audio買収などは、どちらかというと「既存のサービスをEnrichさせる」ものでした。
そして、このような買収例はユーザー数がたくさんいるようなWeb2.0企業の買収劇と比較すると、たいへん地味な扱いになりがちなのですが、扱う数そのものとしては最も多く、当地でのAcquisition例の多くを担っているようでした。

  • 日本との比較
日本の場合は、大手企業が自社製品内で使えるものを開発しているスタートアップをすぐに買収するということはなく、売り込みに行くとそのほとんどが、「独占契約で」という話につながっていきます。

しかも、すぐに対価を支払ってくれるといいのですが、「上層部を説得するために、ここを無償でもう少しこうして欲しい」であるとか、「無償で共同実験に参加して欲しい」ということを言い出される例が多くあります。

もっとひどい場合は、技術の詳細まで話を突っ込んでおいて、ある日突然同じものを作られることがあったり、さらにはパートナー企業内のエンジニアがスタートアップ側から持ち込まれた技術に対して突如奮起し始め、「自分達でできるから買うな」と社内噴火を起こしてしまい、結局採用ならずという例もあります。(自社内のエンジニア奮起のためだけにアテ馬にされたという悲しいスタートアップもたまにありますが・・)

もちろんスタートアップ企業は大手企業と違って資本力のない会社がほとんどであり、パートナー側の社内政治や手弁当に付き合わされるとすぐに息切れすることになるため、通常は、「開発費を支払ってくれ」という交渉を始めるのですが、結局ワークショップフィーくらいしか支払われず、かといって他をイチから周る体力もなく、結果としてExclusiveで細く長く付き合わされるハメとなるわけです。

こうなるともう新技術を軸に新たな世界を切り開くスタートアップではなく、完全に下請け会社的な存在といえましょう。

もちろん、スタートアップ側にも問題はあって、「自分の会社はこんな大企業と付き合っている」ということを言いたいがために、なぜかたいして得にならないことを一生懸命にやっている場合も多々あります。
それならそこの社員になればいいのに、とも思いますが、そういった行動を起こすスタートアップが地味に多いということも、大手企業側の「ウチと付き合っていることが一つの財産になるわけだから、お金を払わなくてもいいよね?」という勘違いを生んでいる一因となっているわけです。

シリコンバレーに目を向けると、良い製品やサービスを生み出す優秀な頭脳は引く手あまたであり、大手企業は「その技術を独占的に使わせて欲しい」などという寝言は言いません。「独占的でなければ売る気がしない」ということは言いません。(昔は言ってたけど・・)
独占したい場合、企業ごと買収するのが筋として認識されているためです。

そのため、スタートアップ側も最終的に自社ごとパートナー企業等に買ってもらうというM&Aが自然と身についており、またそういう頭脳をちゃんと評価して買収できる企業には、結果としてあらゆる優秀な頭脳や競争力のある製品が集まる形になっているわけです。

また、それら買収した資産も将来的に新たな競争力となって企業に利益をもたらすわけですから、買う方も買われる方も対等な関係で存在できるという風土がシリコンバレーにはあります。

今の日本はまだ大企業信仰、年収信仰が揺らぐことはないように見えるものの、将来的に日本でもシリコンバレーのように、優秀な頭脳ほどスタートアップを起こす世の中となり、受け皿としてIPO以外に海外企業へのExitの道も開けるようになれば、日本企業には結果として二流三流の人材しか集まらなくなってしまうのではないかとすら感じます。

「日本の○○会社はヤバイぞ、細く長くExclusiveだぞ、近づくな!」みたいな噂が出てしまうと、誰もそこの会社に行きたがらなくなるでしょうし、ネットほどこういう噂の伝達速度が速い媒体もありません。

実際にシリコンバレーでは、VCを評価するサイトのTheFunded.comを見て、ひどい評価の所には近寄らないというスタートアップも散見されるようになってきているので、それがそのままM&A企業版になると、すぐにいろいろなことが明らかになる時代になってしまうわけです。

とにかく、こういった情報の流れに対しては、組織よりも個人の方が敏感であることを理解しておく必要があります。

話が長くなってしまいますた。
続きはまた次回。